| 研究概要 |
1.麝香強心作用成分に関する化学的研究
麝香のエキスの水溶性画分から見いだした強心作用(イソプロテレノール効果増強作用)物質ムスクライド-A_1,-A_2,-Bの効率的不斉合成法の検討を行い,バリン或いはロイシンを原料とし,ウィテイッヒ反応による炭素鎖延長,官能基の変換を行なうことでムスクライド-A_1,-A_2,-Bの全ての立体異性体の合成を達成した.その結果,ムスクライド-A_2,-Bの立体構造を訂正する必要のあることが明かとなった.
2.麝香強心作用成分に関する薬理学的研究
ムスクライド類の強心作用(イソプロテレノール効果増強作用)を測定した結果,(2R,5S)-ムスクライド-A_1が最も強い作用を示した.さらに,ムスクライド-A_1やその(2R,5S)-ジアステレオマ-がモルモット及びラットの心室筋由来のプロテインキナーゼCを活性化すること,その作用が1,2-ジアシルグリセロール様の機構によることを明らかにした.また,ムスクライド類が活性化するプロテインキナーゼCが心室筋に固有のプロテインキナーゼCであることを見い出した.
3.麝香鎮静用成分に関する研究
鎮静作用を示した麝香のエーテルエキスをシリカゲルカラムおよびプレパラティブTLCで分離を行ない,ムスコンの他にコレステロール,デヒドロエピアンドロステロンの存在を認めた.
4.飼育麝香に関する研究
飼育麝香から作製したエーテルエキスの成分を天然麝香のエーテルエキスとTLC及びGCによって比較した.両者のクロマトグラムは類似のパターンを示したが,その含有比には差が見られた.現在,飼育麝香の活性活性について検討している.
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