研究概要 |
トリチウムは原子力施設から環境に放出されるが、将来D-T核融合炉が稼働すると,燃料として極めて多量のトリチウムガスが用いられると予想されている。トリチウムは低エネルギーβ線を放出する比較的安全な核種ではあるが,生元素である水素の同位体として環境から生体へ取り込まれることにより生物影響を及ぼす。大量のトリチウムガスの取扱においては環境問題もクローズアップされることが予想され,各種の封じ込めの技術開発がますます必要である。 本研究は,取扱施設でトリチウムガスを回収除去する装置のひとつとして,トリチウムガス酸化酵素を持つ微生物を触媒とするバイオリアクターにより常温常圧でトリチウムガスを除去回収するシステムの開発を目的とし、以下の成果を得た。 1)トリチウムガス除去装置のバイオリアクター用菌株として土壌から分離した8菌株と分譲菌株10株について検討し、Streptomyces misionensis JCM4497を選定した。 2)固定化のための担体の材質、菌体の培養条件、担体への固定化の方法等の検討を行なった。担体として検討した中ではシランリングとファイバームがよく、硬度の点ではシランリングは優れているもの、トリチムガス酸化活性と保存性の点からはファイバームが担体として最も良かった。 3)酸化力改良のために、既知の他の細菌の遺伝子をプローブとしてこの菌株のトリチウムガス酸化の酵素ヒドロゲナーゼ遺伝子の単離を試みたが、有為な相同性を示すものは得られなかった。 4)除去装置の基本構成はファイバアーム固定化菌株を充填したカラム、-60℃のコールドトラップ、モレキュラーシ-ブ、シリカゲルトラップ、およびトリチウムモニターとし、性能の評価を行なった。
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