研究課題/領域番号 |
04610031
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
心理学
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
岩本 隆茂 北海道大学, 文学部, 教授 (10000605)
|
研究分担者 |
福井 至 札幌大学, 女子短期大学部, 助教授 (10208928)
和田 博美 北海道大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (90191832)
|
研究期間 (年度) |
1992
|
研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
|
配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1992年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
|
キーワード | ハト・サル・ヒト / 「認知的」行動 / 条件性遅延見本合わせ課題 / トルエン / 短期記憶過程 / アイデンティティ課題 / オディティ課題 / 「認知的」行動の生理・薬理的機構 |
研究概要 |
本課題におけるわれわれの最大の研究成果は、「ハトにおける推移性の確立」を得たことである。これまで、ヒト以外では推移性(A=B,B=Cならば、訓練なしにA=Cが成立)のような「認知的」機能の存在が疑問視されていた。ヒトであっても、言語機能のない障害児では推移性は成立せず、また、類人猿やサルなどではその成立を報告する実験があっても、その手続きの不備が指摘されていた。本研究では、多くの工夫を凝らした(見本刺激や比較刺激の提示場所など、7点にわたるユニークな改善を施した)結果、鳥類においては“まさしく世界で最初に"(おそらく、ヒト以外の霊長類においても最初に)推移性の確立が得られたのである。この結果は、1992年5月のアメリカ合衆国サンフランシスコ市で開催された「国際行動分析学会・第18大会」において、研究代表者・岩本隆茂によって発表され、世界的な注目を集めた。 本課題における第2の目的は、このような「認知的」行動を支えている生理学的・薬理学的・心理学的機構の解析である。この目的のために「条件性遅延見本合わせ課題」を用いてハトを訓練したが、この課題は「アイデンティティ課題」と「オディティ課題」からなっており、前者では見本刺激と同一な刺激を、後者では見本刺激と異なる刺激を選択すれば、強化刺激が髄伴提示された。反応遂行が安定した後、トルエン投与テストを行った。10mg/kg〜40mg/kg投与条件では正答率の有意な上昇傾向が見られた。さらに詳しく分析すると、10mg/kg〜20mg/kgでは「アイデンティティ課題」において、40mg/kgでは「オディティ課題」において、それぞれエラー反応の有意な減少がみられた。80mg/kgでは、エラー反応の有意な増加のために正答率は低下するが、40mg/kgまでのトルエン投与は、ハトの短期記憶過程を活性化するという注目すべき機能を示唆している。
|