研究概要 |
高齢ドライバー(65歳以上)7名、若年ドライバー31名について走行実験を行なった。被験者は公道にて先行車(測定車)を種々の課題の元に追従走行するよう求められた。課題としては走行速度50,60,80km/hの3条件において「走りよい距離」「最小安全距離」などの造成を求めた。走行実験後には安全運転態度検査、危険感受性テストなどが同被験者に行なわれ、追従走行行動特性とその背景にある心理的特性との関連を検討するための資料とした。主な結果は次の通りである。:(1)危険を感じ始める距離は若年者は高齢者の1/2である。(2)心理的ゼロ点(近すぎも遠すぎもしない距離)は年代間で差がない。(3)被験者によって走行速度を造成距離との関係において次の3つタイプが認められた。(1)走行速度の増減に伴い車間距離も増減。(2)速度の変化にかかわらず一定距離で走行。(3)速度と距離の関係は必ずしも直線的でなく道路環境の相違によって調整。若年者・高齢者共に第1のタイプが最も多く認められたが、若年者にあっては高齢者に見られなかった第2のタイプが観察された。このタイプは車間距離も狭く、安全運転態度検査においても不安全な傾向を示す運転者であった。第3のタイプはそれに対して安全運転者としての心理的特性を示す運転者が多かった。高齢者は安全運転態度においても追従行動特性においても安全運転者としての特性を多く示すことが認められたが若年運転者が安全と感じる距離を高齢者は危険な距離と感じるなど、危険知覚特性が異なることによる行動のズレは大きい。このような年代間の非等質性は交通コンフリクト現象の原因として問題となり、互いの行動特性、心理特性の理解を含んだ安全運転教育等の対策に折りこまれることが有効と思われる。
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