登校拒否問題に関して、それが広がりを見せた当時のような広い関心は、今日それほど見られなくなったが、それはマス・コミなどが取り上げなくなっただけであり、むしろ深刻なかたちで問題は定着してきていると考えられる。 本研究のテーマは、学校週五日制が施行される中で、地域社会教育が青少年教育に占める位置が高まり、地域の中で学校教育と社会教育との連携が強まり、その結果学校に行けない。行かない子供たちに、学校以外の別の選択の方向を地域社会教育が提供できるのではないか、という視点(パースペクティヴ)と問題意識(プロブレマティク)から設定されたものである。 そして、都市と農村のいくつかの地域に即して、学校週五日制の施行に伴い、地域社会教育がどのような機能をもって、その活動を展開していくのかということを把握しようとした。そして、インタヴューなどを通して、いくつかの社会教育施設では、土曜日の活動に学校外教育的な要素を取り入れ、施行的ではあるが、ある程度の成果を見せているところもある。この点で、学校週五日制という、子供の生活に「ゆとり」をという目的を掲げた制度的改革は、具体的に月一度であるが休日を増やすことにより、実質的に公民館などで実践されている社会教育活動に、子供が参加できる条件となってきていることが確認される。しかし、問題を登校拒否という点に位置づけるとき、子供の参加は登校拒否児童・生徒を対象にした機関に限定されがちであり、なかなか社会教育一般に広がりを見せていない。この点で、学校教育と社会教育との連携にあり、その関係をさらに発展させる実践として、ヴォランティア活動に注目し、そこに、登校拒否児童を含めた、様々な子供たちが自主的に参加できる実践的なシステムをつくる必要性が認められる。
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