本研究では、大学単位制度のあり方を模索するために、制度論的な枠組みを設定しながら個々の大学における実際の運用の実態を分析した。とりわけ大学設置基準の大綱化に伴うカリキュラム改革等について調査した結果、得られた知見の代表的なものを挙げれば、次のようになる。 (1)国公私立の各大学ともカリキュラム改革に意欲的に取り組んでおり、大綱化の一つの柱である単位計算方法の弾力化にも対応した改善・見直しが多くみられる。 (2)授業形態別の1単位の単位計算方法については、従来のそれを変更する大学が多くみられ、しかもそれは演習、実験・実習等に著しい。多くの場合、演習を講義と同じように扱おうとしている。 (3)卒業必要総単位数は、これまで最低基準の124単位を上回る大学が多かったが、その見直しを図りできるだけ基準に近づけようとする努力がみられる。 (4)授業科目区分を大幅に変更する大学が多いが、それぞれの科目区分に配分される単位数については、一般教養的科目には少なく専門教育的科目もしくは専門基礎科目に多く振り分ける傾向が強い。 (5)授業以外で新たに単位認定を予定している大学は未だ少くないが、学生のフィールドワークや見学あるいはボランティア活動などを単位化しようとする動きが出てきた。 (6)関連して、学期制に関してはセメスター制を導入しようとする動きが急である。また、1コマの授業時間も統一されていないが、100分を90分に変更する大学や、90分を60分、70分にするところもある。 (7)弾力化に伴う現実の予想される問題点も多いが、中でも単位互換や既修得単位の認定の際の混乱を示した。
|