研究概要 |
1,フランスの教育行政・制度に関する多くの文献・資料を収集するとともに、それらの整理を行いつつ、教育視学官制度についての簡単な文献リストを作成した。なお研究期間が1年に短縮されたことにより、当初予定していた教育視学官制度の歴史的研究については、概略を考察するにとどまらざるをえなかった。 2,国レベルに設置されている中央教育視学(IGEN)は、従来は教育活動全体に実施状況を監督することを目的として、学校などに対する「助言」や「情報伝達」を任務としてきたが、1989年の新教育基本法の制定以後、より教育改革に効果的な役割を果たすことが求められ「評価・点検」および「教育政策の実施の研究」が主たる任務として位置づけられた。他方で、地方レベルに設置されている教育視学官は、単独制の教育行政官として、あるいは教育指導助言者として重要な役割を果たしてきている。 3,これまで国の中央教育視学の教育実態分析の報告書については、行政内部文書として処理されるにとどまり一般に公表されることはなかった。しかし教育改革の遂行において点検・評価の情報公開が求められる中で、教育行政視学については1984年度から、教育視学については1990年度から総合的な報告書が公表されてきた。現在これらをもとに、教育改革の遂行と教育視学官の機能・役割との関連構造について検討を進めており、近いうちに関連学会などで発表することを予定している。 4,本研究の一環として、地方レベルの国民教育視学官が初等学校教員の人事管理に果たす役割について、および前述の中央視学官による報告書を分析しつつ、中等学校生徒の現状と課題についての論文を執筆した。
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