1.家庭科教員養成を行なう私立大学家政学部の家庭科関係の教育課程をみると、従来のように被服、食物、住居、保育等のように各科目を並列して設置する構成様式ばかりでなく、「人間」、「生活」、およびその「環境」に焦点をあてて、自然科学、社会科学ならびに人文科学を総合化し、それらを考究しようとする構成傾向が認められる。 2.その場合の枠組の一例としては、「人間の発達」、「人間の環境」、「文化と人間」のような構成や、「生活科学」、「生活文化」、「生活情報」等の構成がある。 3.1989年学習指導要領改訂における家庭科の特徴には、男女共修、教科領域の拡大および多様化があげられる。 4.これらに対応できる資質、能力をもつ家庭科教員の養成をめざして、コンピュータ教育の充実、人間関係学や科学経済的事象の考察等を教育課程に取り入れる大学もある。 5.諸外国の大学教育のあり方をみると、英国の大学では、専門教育のねらいは実際的技能や知識の習得という職業への直結よりも、人格や精神の練磨とされてきた。しかし、1986年の全国職業資格協議会(NCVQ=National Council for Vocational Qualifications)の設置により、アカデミックな内容と職業的内容との統合がはかられようとしている。さらに、欧州共同体(EC-European Community)全体での職業資格の調整がなされようとしており、家庭科教員の養成にも変化が及ぶものと思われる。 6.今後、以上のようなヨーロッパの動向をも視野に入れて家庭科教員養成の研究を続けていきたい。
|