研究概要 |
1.研究目的と方法 目的は(1)高校生・大学生(以下青年という)の老人に対する感情や意識 (2)特に家庭内介護をめぐる諸問題についての青年の意識を実態調査によって明かにすること。方法は,兵庫県下の高校2年生と大学2年生を対象に,地域・学科・ランク等を考慮し2段階層化抽出法により,1992年12月質問紙法で「青年の老人に対する意識調査」を実施した。高校生512名(5校男201名女311名)大学生975名(3校男377名女598名)合計1478名の回答を得た。 2.調査結果の概要 総務庁「長寿社会における意識傾向に関する調査」(平成元年)によると,老後に対する不安を感じる者の割合が約8割に達している。なかでも寝たきりや痴呆になった時の不安を感じる者が約5割を占めている。それでは,このような老人の不安に対して,将来の介護者である青年たちはどう考えているかをみると「一緒に住んでもいい」という青年は34.4%で「一緒に住みたくない」65.6%を大きく下回っている。一緒に住みたくない主な理由は「干渉されるのがイヤ」19.01%と最も多く,「家が狭い」17.5%,「生活のリズムが合わない」14.8%,「世話が大変」13.7%,「なんとなくイヤ」15.9%,「趣味や考えが合わぬ」6.6%,「経済的不安」12.1%などとなっている。このように老人と一緒に住みたくないからといって,青年たちは老人を蔑視しているわけではない。ちなみに「老人の良い点」を聞くと,「人生の経験や知識が豊か」36.1%,「生活の知恵をもっている」27.4%等々評価はしている。多くの老人が老後は子や孫と一緒に暮らすことを望み,95%の老人が介護は家族にしてもらいたいと思っているのに対して,青年は約35%しか老親との同居を容認していない。こ世代間ギャップは,今後の日本社会の大きな課題である。今後,学校教育の中でこの課題をどうフォローアップするか,教材の開発,教育計画を具体化を図りたい。
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