研究概要 |
研究成果の概要は以下の点に摘録できる。 アメリカ各州の免許規定,学校管理職の資格と養成・研修に関する著書,統計的資料,学位論文等を入手することによって得られた知見は次の通りである。 1.学校管理職の今日的役割 1980年代以降特に,これまで学区行政官としての役割を果たしてきた校長職の性格に変わって,個々の自律性のもと教職員の多様の意見を調整しつつ,学校としての合意を形成し,教職員の協働的活動を促すリーダーとしての役割を校長に要請している。 2.管理職の資格・養成・研修 アメリカでは,州・学区教育当局,校長会,校長センターなどによる管理職研修が行われているが,免許資格と連結した校長の養成,研修制度が歴史的にも主流となっている。校長の免許資格としては,修士以上の学位,大学院における教育経営コースの履修が要求されていた。また,免許の更新・上進制度を採る州が多くみられ,更新要件としては,学区主催の研修も更新単位として認められつつある点が今日的特色であった。さらに州によっては新任校長研修制度が長期間行われているのも看過できない点である。 3.日本への示唆 わが国では教育管理職の養成・研修は制度化されていない。主任層が管理職の見習いとして,教頭職が校長職の見習い期間になっているともいえる。現段階においては全国的レベルで教育委員会・教育センター所管の管理職研修を一層充実させる必要がある。また教育系大学院のあり方も再検討する余地がある。アメリカにおける養成・研修プログラムにおける受講者のニーズを考慮した内容等は今後学ぶ点は多いと言える。
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