研究課題/領域番号 |
04610184
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
文化人類学
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研究機関 | 九州芸術工科大学 |
研究代表者 |
松永 建 九州芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (40040993)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1993年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1992年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 阿蘇 / 御輿歌 / 田植え歌 / テトラコード / ペンタコード / テトラコルド / ペンタコルド |
研究概要 |
平成4年度及び平成5年度の調査は阿蘇地方の御輿歌の全体について行った。最終的に調査対象となった神社は16カ所であった。採集調査の基礎資料は祭礼当日の御輿歌を録画録音によったが、既に伝承が途絶した神社、日程の重複、雨天などによる事情のために完全な録画採集が不可能であった神社が4カ所あった。しかし、神社や保存会組織などで記録保存されている録音テープの収集、及び伝承者による演唱の記録を実施し、阿蘇地方の御輿歌に関するほぼ必要と思われる音楽的資料を得ることが出来た。なお、この調査の結果、阿蘇神社系統の御輿歌によるのは12神社、独自の御輿歌によるのは4神社であった。採集記録された御輿歌については、歌詞の整理と比較検証を行い、また音楽的部分は順次採譜記録した。しかし、伝承資料収集の遅れや各種の不備の補足作業のため音楽学的分析と阿蘇地方の民俗学的考察は大筋を検証するにとどめた。以下に要約する。 (1)歌詞は中世歌謡形式を残し、世俗的内容に富む。 (2)日本の古式な節回しに共通する旋律形を持ち、独特な母音唱法が特徴である。 (3)完全4度音程の反復進行、自然倍音列的3度・5度音程を主にした音組織による。 (4)御輿歌は阿蘇神社から各地の神社に伝播したと考えられるが、阿蘇神社系統によらない事例など、近世以後の御輿歌の伝承と展開に問題点があり今後の課題である。 (5)伝承状況については、いずれの神社も青年層の減少により、御輿歌を歌う駕輿丁が慢性的に足りず、古い録音テープを流すだけの神社も数カ所見られ、師匠の高齢化とともに御輿歌のみならず祭礼自体の存続が危うくなっている。
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