研究課題/領域番号 |
04610191
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
日本史
|
研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
渡辺 英夫 秋田大学, 教育学部, 助教授 (20191786)
|
研究期間 (年度) |
1992 – 1993
|
研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
|
配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1993年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1992年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
|
キーワード | 海運史 / 河川水運史 / 流通史 / 東廻海運 / 利根川舟運 |
研究概要 |
本研究は、今後とも継続されるべき研究の第一段階として、まず現地調査に基づく関係史資料の収集に最大の力点を置いた。 その一つが、東廻海運と関東河川水運との連結という観点から、常総地域に的を絞った調査となり、原史料のマイクロフィルムによる収集となって結実した。千葉県佐原市の伊能忠敬記念館収蔵史料や千葉県立大利根博物館所蔵・奈良屋文書など、これまでその存在は知られていたものの、一部を除いて本格的な研究にはほとんど利用されてこなかった貴重な史料を収めることができた。また、茨城県側では水戸藩の輸送機構を藩の職制の中に位置づけて考察すべく、海老沢津役奉行について調査した。今回は収集史料の分析を完了するまでには至らなかったが、これまでの研究の継続性において、次の二点を展望することができた。一つは、近世初頭の利根川改修工事を、大型船を就航させるための水深確保といった観点からのみ捉えるのではなく、帆船の走行上、広さ・川幅の拡張という観点からも追求すべき点であり、もう一点は、三都と仙台城下町商人をつなぐ遠隔地間交易に果たした海運と河川水運の一体的な輸送機構についてである。他方で、東日本の広い視野の中で海運と河川水運の接続を考えようとする視点は、県史・市町村史など各種自治体史を網羅的に調査する結果となった。その一部を今回は、日本海沿岸諸地域における海運と河川水運に基づく地域間交流のあり方として、概略的にまとめることができた。海運と河川水運とを統一的に把握しようとする本研究は、まだその端緒についたばかりである。この二年間にわたる調査研究は、水運史を陸上交通とも絡めた総合的な交通システムとして捉えるべき視点を明確にさせた。と同時にまた、近代化過程における連続面と断絶面についても考察すべき新たな分析視角を浮かびあがらせてくれた。今後、さらに研究の深化をはかりたい。
|