研究課題/領域番号 |
04610198
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
日本史
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
横山 俊夫 京都大学, 人文科学研究所, 助教授 (40027553)
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研究分担者 |
横田 冬彦 神戸大学, 文学部, 助教授 (70166883)
藤田 隆則 京都大学, 人文科学研究所, 助手 (20209050)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1992年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 社会史 / 出版 / 読者層 / 蔵書目録 / 書物利用実態 / 18、19世紀日本 / 貝原益軒 / 啓豪 |
研究概要 |
1.残存貝原益軒本の書誌や利用実態のデータベース作成につき、各種ソフトウェアを試し、最終的に表計算用「エクセル」を採用、『国書総目録』や各種文庫目録からの入力をはじめた。 2.残存益軒本の調査は、秋田県立図、米沢市立図、東北大学、東京都中央図、金沢市立図、岡山大学、高知大学、高知県立牧野文庫、福岡県立図、秋月郷土館、琉球大学などで行った。とくに写本類では、『神祇訓』『音楽記聞』に注目すベき広まりが見られ、刊本類では、『日本歳時記』『万宝事記』『京城勝覧』『女大学』などに使用者の手垢や書込みが目立ち、興味を引いた。また、『諸菜譜』『大和本草』『君子訓』なども、諸版の流布を考える上で重要と判明。また版行形態には、18世紀末以前と以後で違いが見られるようである。前期は柳技軒や永田調兵衛ら限られた書肆が版行しているが、後期に入ると相合版が急増する。我々の言う“益軒現象"を考える上で、重要な側面であろう。 3.益軒本の読者層についての調査は、まだ緒についたばかりである。河内国三田家と森家の蔵書目録再調査をはじめ、同国杉山家、播磨国三木家の蔵書調査を行ったが、すでに18世紀初頭、幾内を越える範囲の農村に益軒読者がいたことが予測されるに至った。なお、各地の旧藩校蔵書中に、益軒本の漢籍のみならず、いわゆる「十訓」類も入っているのも注目される。さらに、琉球大学蔵の石垣島宮良殿内旧蔵の『大和俗訓』明治4年写本は、使用者が占いの具としていたような痕跡があり、詳しい調査が俟たれる。 4.“益軒現象"の解明は、18、19世紀日本の社会を考える上で重要なテーマであるとの認識が深まった。近い将来、書目を限定した上での悉皆調査計画を作りたい。
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