研究概要 |
長州藩諸隊に関して下記機関等の資料調査を実施し、資料を収集し、分析を行った。 1.資料調査 (1)山口県文書館 毛利家文庫、県庁伝来旧藩記録、県庁戦前資料 (2)山口県立図書館 山口県域内の市町村史 (3)萩市立郷土博物館 杉民治関係史料 (4)下関市立長府博物館 長府藩報国隊関係史料 (5)徳山市立図書館 徳山藩山崎隊関係史料 (6)宇部市立図書館 福原家文書 (7)京都大学付属図書館 尊攘堂史料 (8)東京大学史料編纂所 大日本維新史料綱本,明治維新編纂事務局引継本。 上記の調査により,長州藩諸隊にかかわる基本的資料が集まり,特に尊攘堂史料「御楯隊姓名録」のように、これまで学界で未紹介のものも発見した。 2.分析 上記収集資料の分析の結果、次の諸事実が判明した。長州藩諸隊の構成員は、奇兵隊に代表されるように武士と農民・町民等が混在しており、その面では民衆的側面もみられる。しかし諸隊は、外圧に対して窮余の一策として藩の軍事体制を強化するために設立されたものであり、俸給や武器の支給などに藩が深く関与している。それは諸隊の記録である日記も、報奨のために記され、藩の公用紙が用いられていることでも明らかである。また入隊にあたって武士の育(はぐくみ)として入隊すると、隊内での地位が良いという傾向が見られる。以上のような諸隊の構成や諸性格について、政治過程全体の中に位置付けていくのが、今後の残された課題である。
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