課題として取り上げた研究調査では、次の二点を重点的に実施した。すなわち、フランク・ホーレーが晩年に京都山科において設立した「関西アジア協会」(KANSAI ASIATIC SOCIETY)についての調査と彼の収集した「琉球コレクション」の全容についてである。前者については、東京青山の「日本アジア協会」事務所における資料調査において日本アジア協会の会報・会議録などに記された「関西アジア協会」の記事を、また横浜開港資料館において未整理資料の中から「関西アジア協会」刊行の雑誌を見いだした。これらに加えて、すでに調査を実施しているホーレー旧蔵資料との照合を行い、「関西アジア協会」の日程・名簿や活動内容などについての具体的な裏付けをなし得た。また、後者については、コレクションが譲渡された際に作成されたメモや、ハワイ大学においてかつて作成された関連書類を照合させることにより、ホーレーが「琉球コレクション」として収集した図書の総てを目録化し、実地調査を踏まえ、これを「フランク・ホーレー琉球コレクション」として本学の「生活文化研究所年報ー第六輯」に発表した。筆者はすでに、「ハワイ大学宝玲文庫ー琉球コレクションー成立の経緯」を「生活文化研究所年報ー第五輯」に掲載し、このコレクションが、ホーレーの死後どのような経緯を経てハワイ大学にもたらされたかを論じた。これらにより、全貌がつかめないとされる宝玲文庫のうち「琉球コレクション」について、その内容とその後の経緯が明らかとなった。
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