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古代律令国家体制における辺境(辺要)の成立とその条件ー蝦夷と隼人を対比してー

研究課題

研究課題/領域番号 04610212
配分区分補助金
研究機関鹿児島女子短期大学

研究代表者

中村 明蔵  鹿児島女子短期大学, 教養学科, 教授 (70180354)

研究期間 (年度) 1992
研究課題ステータス 完了 (1992年度)
キーワード律令国家 / 蝦夷 / 隼人 / 辺境 / 辺要 / 漆紙文書 / 東北地方 / 夷狄
研究概要

古代律令国家の統治領域の外辺にあって,南部九州の隼人の居住地域に対応する東北の蝦夷の居住地域は,より未開的,より蛮族的という特性で認識されている。しかし,本研究で得られた成果からすると,そのような認識はきわめて皮相的見方でしかないようである。
1.律令国家成立以前の古墳時代の様相をまず見る。東北地域における古墳築造は,ほぼ全域にわたってみられる。とりわけ畿内型高塚古墳の分布をみると,前期〜中期においては福島県会津地方から岩手県南部にわたっている。後期になると青森県から一部は北海道南部にまでおよんでいる。隼人の地域の分布に比して広大で,かつ浸透している。
2.律令国家の形成期・確立期になると,東北地方は蝦夷あるいは俘囚の居住地域とされ蔑視されているが,墨書・刻書土器や漆紙文書などにみられる文字の使用,その地が官衙所在地かその周辺の場合が多いとしても,予想外に広い範囲で認められる。また,その影響は北海道南部にまでみられ,明らかに国家領域の外部にまでおよんでいる。
3.8〜9世紀には城柵が各地に築造されたが,その周辺に地方都市が存在したことが確認されつつある。宮城県多賀城市では,多賀城の前面南部に古代都市の形成をうかがわせる条坊区画が検出されている。藤原京・平城京・平安京を除いては,大宰府の条坊が推定されているが,多賀城前面の都市の存在は,古代律令国家の地方統治の実態を考える上で重要である。隼人の地域とは明らかに異なっている。
以上のようにみてくると,隼人の地域と蝦夷の地域は,文献上は同じく辺境・辺要とされながらも,その様相はかなり違ったものとなっている。文献中心に形成されてきた夷狄観念による史観は,その実態とかけはなれたものとなってきた。今後は発掘調査によって検出された事実と文献記事を複眼的視点で見直す必要がある。

報告書

(1件)
  • 1992 実績報告書

URL: 

公開日: 1994-03-23   更新日: 2016-04-21  

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