研究課題/領域番号 |
04610235
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
西洋史
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
大黒 俊二 大阪市立大学, 文学部, 助教授 (50152096)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1993年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
1992年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | オリーヴィ / 経済思想 / 徴利 / 種子的原理 / 西欧中世 / 商業擁護論 / 「必要」「有益」 |
研究概要 |
P.J.オリーヴィの原典のうち、既刊のものはすでに昨年度中にその大部分を蒐集しえた。昨年度書店の都合で納品の遅れたStudi Francescani(フランチェスコ会の研究誌、オリーヴィ原典の翻刻を多く含む)も、今年度初頭には入手することができ、オリーヴィの既刊原典蒐集という本研究の第一の目的は、ほぼ達成することができた。 これらの原典にもとづき、本年度はオリーヴィの経済思想を徴利論に焦点を合わせて研究した。その成果は、本「研究実績報告書」裏面「11.研究発表」の項目に記した通り、論文「石か種子か-P.I.オリーヴィのinterest論-」論文、および原典翻訳「ペトルス・ヨアニス・オリーヴィ『売買・徴利・返還論』試訳(二)」という形で公表した。論文「石か種子か」においては、教会の徴利禁止イデオロギーがなお強力な13世紀後半という時点ですでに、オリーヴィはこのイデオロギーを克服する道を指し示し、近代的な意味での「利子生み資本」概念の萌芽を示している点で、徴利論発達史上きわめて注目すべき思想家であることを主張している。同時に彼の徴利論を、「種子的原理」という概念を手がかりに同時代の神学・哲学思潮のうちにおきなおし、従来せまく経済思想史という枠内でのみ論じられてきた彼の徴利論の思想的背景を探ってみた。 しかし他方でオリーヴィの革新的な徴利論には、研究の現段階ではなお解きえぬ奇妙なパラドックスがひそんでいる点を強調しておいた。このパラドックスは本研究の開始以前からすでに何人かの研究者が指摘しており、本研究もその解決を目的の一つにかかげていたにもかかわらず、満足のいく解決を得られなかったことは、本研究の限界として認めておかなければならない。とはいえ、パラドックスの構造と背景を従来にもまして鮮明にすることで、今後の解決にむけて一つの示唆を提示したと主張することは許されよう。
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