研究概要 |
我々は平成4年度、平成5年度の2年間に「コンピューターによる中世英国韻文ロマンスのコンコーダンス編纂」の課題によって、文部省科学研究費補助金(一般研究(c))(課題番号:04610280)の交付を受け、中世英国韻文ロマンスのうちいわゆる「“Eustace-Constance-Florence-Griselda"伝説群」の主要作品4篇、Sir Eglamour of Artois(14世紀中葉、1335行),Sir Triamour(14世紀後期、1719行),Sir Torrent of Portyngale(14世紀後期、2668行),The King of Tars(14世紀初期、1228行)を取り上げて、そのテキストの電子化とコンコーダンス編纂を推進した。 我々はこの2年間に上記4作品のテキストのコンコーダンス編纂の問題点を研究の上、大阪大学言語文化部言語工学部門の汎用コンピューターを用いて電子化とコンコーダンス編纂を完了した。各作品のコンコーダンスは、それぞれKWIC concordance,word index,ranking frequency list,reverse word list,rhyme word listよりなり、これらの作品の様々な面にアプローチできるようにした。これらの作品は、ロマンスの中で重要かつ人気のあるサイクルに属しているので、このような多面的なコンコーダンスは、出版されれば、その作品群の研究に有用な道具として歓迎されるものと思われる。 なお、汎用コンピューターでのコンコーダンス編纂と同時に、我々は最近益々身近な研究用具となってきたパソコンでのコンコーダンス編纂の試みも行った。Micro-OCPによる編纂にほぼ目途がついたことは大きな収穫である。
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