研究課題/領域番号 |
04620014
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
公法学
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
永田 秀樹 大分大学, 経済学部, 教授 (60136778)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1994年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1993年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1992年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 違憲審査制 / 集中型 / 非集中型 / 混成型 / 憲法裁判所 / イタリア憲法裁判所 / 合憲解釈 / 集中型違憲審査制 / 適用違憲 / 最高裁判所 / 憲法裁判 / 混成型違憲審査制 |
研究概要 |
西ヨロッパの憲法裁判制度について、主要な国の成立の事情を明らかにするとともに、裁判官の選任方法・身分、裁判所の地位・性格、裁判所の権限と訴訟類型、訴訟手続、評議の方法、裁判の方法・効力・執行等について、項目別に詳細な比較検討を行った。ヨーロッパで違憲審査制が導入される場合は、従来の裁判所とは構成を異にする新しい特別の裁判所が創られることが多く、集中型違憲審査制や混成型違憲審査制が主流となっている。ヨーロッパの憲法裁判が一番成果をあげている領域は人権擁護の領域である。しかし、ドイツのように政治過程に深く関与し、政治部門間や政治勢力間の調整機能まで果たし、そのことによって社会の安定に寄与しているとみられるものも少なくない。個別的に憲法裁判所の判決がセンセーションを巻き起こすことはあっても、全体としての憲法裁判所に対する国民の信頼は高い。ヨーロッパの憲法裁判は、EU統合の広がりとともにさらに拡大して行くことが予想される。 日本の違憲審査制の導入を振り返った場合、裁判所の民主化が不徹底に終わったという問題とも密接に関係しているが、日本の司法制度にアメリカ型の違憲審査制を接合したのは失敗であり、それが今日に最高裁の司法消極主義を生む一因となった。法曹一元が存在せず、既存の裁判官が大陸型の司法伝統を受け継いでいた日本においては、ドイツ流の改革の方が自然であったと思われる。すなわち、違憲審査権の行使は、従来型の司法権の延長線上で促えることはできないし、従来型の官僚的裁判官はそれを行使する資格がないということを、国民の間でも、法曹内部でもはっきりさせるために、少なくとも、出発点においてはドイツ型の違憲審査制を採用した方が望ましい選択であったと思われる。
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