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アダム・スミス『国富論』第1・2篇の理論的・実証的再構成

研究課題

研究課題/領域番号 04630006
研究種目

一般研究(C)

配分区分補助金
研究分野 一般理論
研究機関九州大学 (1994)
広島大学 (1992-1993)

研究代表者

高 哲男  九州大学, 経済学部, 教授 (90106790)

研究期間 (年度) 1992 – 1994
研究課題ステータス 完了 (1994年度)
配分額 *注記
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1994年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1993年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1992年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
キーワードアダム・スミス / 価値論 / 価格論 / 地代論 / 経済成長の理論 / 価値尺度論 / 労働価値論 / 『国富論』 / 自然価格 / 市場価格 / 経済成長論
研究概要

『国富論』第1・2編を「経済発展の理論」として統一的かつ内在的に再構成するという当初の目的は、第2編第2章の長大な信用制度論の実証的・理論再検討に十分手が届かなかった点で、完全には遂行できなっかた。経済発展の理論における「貨幣」の位置や意義の解明については、今後の課題として残ったという事である。しかし、そのほかの目標はほぼ満足しうるほどに達成したと言ってよく、予期していなかった新事実の発見も含めてその要点を箇条書きすれば、以下のとおりである。
(1)『法学講義A』でもすでに、『国富論』と同様に、市場社会には必ず「自然的均衡」があるという考え方はあったが、「価格」はまだ財の数量と単純に反比例すると捉えられており、労働価値説は未確立であった。
(2)スミス労働価値説は、その基礎にある価値尺度論が「時と所」の異同の組み合わせにおうじてことなる4つの理論次元をもつものとして構想されていた。すなわち「安楽と自由の犠牲」である「労働」は「時と所」を問わずつねに「等しい価値」をもつが、貨幣が正確な価値尺度でありうるのは「時と所」が同じ場合だけであり、異なるときには「穀物」が「近似的な」それであるから、経済成長の理論的解明は労働と穀物を基準に組み立てらるべきであると。
(3)スミスは経済成長の推進力を分業の発展にみたが、発展のためのファンドの大きさは「維持しうる労働量」と「維持しえた労働量」との差にあるから、したがって労働の投入産出のエネルギー転換効率がもっとも高い穀物生産の効率性が、経済発展=分業の進展の程度を究極的に規定していると説くことになった。換言すれば、「維持しうる労働量」を実物的に表す「総需要」は、市場での交換・取引をつうじて「維持しえた労働量」内部の社会的配分替え(=分業構造の変化)を引き起こすが、この配分替えの基準が、いわゆる生産3要素の自然率つまり「自然的均衡」に他ならないという主張である。

報告書

(4件)
  • 1994 実績報告書   研究成果報告書概要
  • 1993 実績報告書
  • 1992 実績報告書
  • 研究成果

    (11件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (11件)

  • [文献書誌] 高 哲男: "アダム・スミスの「地代」論-「過去4世紀における銀価値の変動にかんする余論」を中心に-" 広島大学経済論叢. 17-1. 137-190 (1993)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 高 哲男: "アダム・スミス『法学講義Aノート』における「自然価格と市場価格」" 広島大学経済論叢. 17-3・4. 111-143 (1994)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 高 哲男: "『国富論』第1編第11章「地代について」のもつ意味について-「価値尺度」論との関係を中心に-" 経済学研究. 61-1(5月刊行予定). (1995)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 高 哲男: "市場経済の思想像、中村廣治編著(第I部第2章の(1)アダム・スミスを分担執筆)" 九州大学出版会, 276(14) (1994)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] TAKA,TETSUO: "THE RENT THEORY OF ADAM SMITH (IV)" HIROSHIMA ECONOMIC REVIEW. 17-1. 137-190 (1993)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] TAKA,TETSUO: "NATURAL AND MARKET PRICE IN ADAM SMITH'S LECTURES ON JURISPRUDENCE (A)" HIROSHIMA ECONOMIC REVIEW. 17-3/4. 111-143 (1994)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] TAKA,TETSUO: "RENT AND MEASURE OF VALUE IN ADAM SMITH'S THE WEALTH OF NATIONS" JOURNAL OF POLITICAL ECONOMY (KYUSHU UNIVERSITY). 61-1 (1995)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] TAKA,TETSUO: "ADAM SMITH : "NATURAL LIBERTY" AND MARKET SOCIETY" NAKAMURA,HIROJI ED., KYUSHU UNIVESITY PRESS,THOUGHTS OF MARKET ECONOMY. 41-55 (1994)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1994 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 高哲男: "『国富論』第1編第11章「地代について」のもつ意味をめぐって-「価値尺度」論との関係を中心に-" 経済学研究. 61-1. (1995)

    • 関連する報告書
      1994 実績報告書
  • [文献書誌] 高 哲男: "アダム・スミス『法学講義(A)ノート』における「自然価格と市場価格」" 広島大学経済論叢. 17-3・4. 111-143 (1994)

    • 関連する報告書
      1993 実績報告書
  • [文献書誌] 高 哲男: "アダム・スミスの「地代」論(IV)-「過去4世紀における銀価値の変動にかんする余論を中心に-" 広島大学経済論叢. 17-1. (1993)

    • 関連する報告書
      1992 実績報告書

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公開日: 1992-04-01   更新日: 2016-04-21  

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