近年、株価データ・為替データ・その他種々の経済指標データを解析し、経済予測を行なうことが多くの研究者、実務担当者の注目をあびている。一方、時系列解析の理論の研究者も、上記データを解析するための新手法を多く生み出している。また、時系列解析を効率的に行なうための研究も進んでいる。しかし、これらの研究成果を利用するには、現状では、計算機についての高度な知識も必要である。最新の時系列解析の諸手法を簡単に利用できるような統合化システムをパソコン上に開発することを目的として、研究を開始した。 以下に述べるような機能を持つソフトウエアをパーソナルコンピュータを用いて構築を試み、基本設計を行った。 (a)現段階で使える手法は一変量ARモデル推定及びスペクトル推定のみであるが、手法の追加登録は容易に行える。 (b)操作がマウスを用いてできるような入力インターフェースを持つ。またパラメータ入力用のメニュー画面を持つ。 (c)結果のグラフィック出力が可能である。 (d)ハイパーテキスト風のヘルプ機能を持つ。 移植性を重視し、MS-DOS・MS-FORTRAN、MS-WINDOWが動作するパソコン上で開発を行った。時系列解析のプログラムとしてはTIMSAC72に入っているものの中からAVTCOR(自己相関関数の計算)、AUSPEC(BT法によるスペクトル推定)、FPEAUT(一次元ARモデル)、RASPEC(有理型スペクトル推定)を選択し、組み込んだ。一変量の時系列データを扱うには十分であるので、プロトタイプとして作成した。より進んだ解析手法を組み込むことは容易に行える。現在、プロトタイプのソフトウエアのテストを行おうとしているところである。
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