研究課題/領域番号 |
04630039
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
経済事情・政策学
|
研究機関 | (財)労働科学研究所 |
研究代表者 |
鷲谷 徹 財団法人労働科学研究所, 社会科学研究部, 研究室長主任研究員 (00124313)
|
研究期間 (年度) |
1992
|
研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
|
配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1992年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
キーワード | 女性労働力 / 就業継続支援策 / 育児休業制度 / 職業キャリア / 雇用平等 / 性別役割分担意識 |
研究概要 |
1990年国勢調査によれば、女性の労働力率のピークは20〜24歳の75.5%と45〜49歳の68.3%の二つあり、30〜34歳の50.7%をボトムとしている。20〜24歳のピークと30〜34歳のボトムのギャップ率の推移を時系列的にみると、1970年には33.2%、75年35.3%、80年34.6%、85年32.9%、90年には32.8%となっており、ボトムの底上げは進んでいない。労働力率のM字型の意味は、いうまでもなく、結婚・出産による労働市場からの一時的リタイア=職業キャリア中断にあり、これは労働力活用の長期的視点からみても非効率・不合理なものである。その解決のために、歴史的には産前・産後休暇、育児時間制度に始まり、保育制度が実施され、今日では、育児休業制度や再雇用制度等の就業継続支援策が試みられるようになってきた。なかでも、育児休業制度は、1992年4月に法的根拠を有するに至り、当然に制度としての普及は進んでいるが、実際の活用状況はあまりよくない。今回の調査によれば、それは、休業期間中の所得補償を充分行っている企業が少ないという経済的条件が効いていることがまず挙げられるが、それにとどまらず、育児休業に関し職場の理解が得られるかどうか、休業期間終了後同一の職務に復帰できるかどうかという不安が女性労働者の中にあることが明らかになっている。また、育児休業法は、男性労働者にも育児休業の権利を認めてはいるが、実際に男性が育児休業をとるのはレアケースであり、この制度は根底において、性別役割分担意識の存在を前提としつつ、就業意欲が充分に高く、キャリア継続面で不安の少ない女性の利用を前提としたものとなっている。結局のところ、男女の真の雇用平等の実現のためには、こうした、個別企業の支援策の充実にとどまらず、労働と家事・育児の男女共同を展望する社会的コンセンサスの醸成と、それを担保する法的・制度的裏付けをもった社会的枠組みが必要となるのである。
|