研究課題/領域番号 |
04630056
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
財政学・金融論
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研究機関 | 早稲田大学 (1993) 長崎大学 (1992) |
研究代表者 |
馬場 義久 早稲田大学, 政治経済学部, 教授 (80148022)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1993年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1992年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | フリンジ・ベネフィット / 現物給与 / 報償形態選択行動 / 課税の中立性 / 費用控除の部分否定方式 / 個人所得税節約効果 / オーストラリア方式 / 規制的課税 / 費用控除の部分否定 / 社宅 / 最適課税ルール / 被用者便益 / 包括的所得税 / 労働力の固定化 |
研究概要 |
1.本年度の研究によって以下の成果を得た。(1)フリンジ・ベネフィット(以下、FBと略称)に対する現行日本の課税方法は、実質的に所得税非課税・社会保険料免除・FBの供給費用の完全控除方式である。この方式は税制なき場合よりも企業によるFBの供給を推進している。この点を企業の報償形態選択行動に基いて理論的に根拠づけた。(2)現行の税制改革の方向としては,FBの供給費用の費用控除を一部否定する方式が最も望ましい。(3)従来の研究によって高く評価されてきた、FBの便益を個人所得税の課税所得に算入する方式は、社会保険料節約効果を相殺できないという欠陥をもつ。(4)また、最近注目されている費用控除の完全否定方式やオーストラリア方式は、わが国の個人所得税率・社会保険料率・法人税率の水準を所与にするとFBの供給に対して規則的課税として作用する公算が強い。(5)企業収入増大効果を全く持たない純粋の報償として機能するFBの場合、(2)で述べた費用控除否定の最適割合は、法人税率・個人所得税率・社会保険料率という税制パラメーターのみに依存する。この点は税制改革にとって重要な政策的意義をもっている。(6)(2)の方式による法人税増収は、個人所得税率の引下げに用いるのがよい。このことによって、(2)による改革案が、課税の中立性・簡素化のみならず公平性の確保の点でも貢献できるからである。 2.以上の分析結果は、(1)FBのうち現物給与と称される部分のみに適用されるものであり、(2)また、きわめて単純な企業による報償形態選択行動から導かれたものである。高令化社会の到来を控えて重要な意義をもつ保険関連のFBや、企業の資産選択行動にも着目することにより、以上の分析をさらに発展させる計画である。社会保障研究所主催の「企業福祉と社会保障」(プロジェクト)の一メンバーとして、以上の課題を追求する予定である。
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