バブル経済崩壊後日本の国内自動車市場は3年続きの減少を記録し、自動車メーカー各社はいっせいにリストラ合理化に乗り出した。このリストラ合理化は車型削減、部品の共通化、部品点数の削減のようにまず製造工程や部品生産のレベルからスタートしているが、販売・流通システムにも大きな影響が起りつつある。とくにこれまでの市場ユーズ多様化に対応したいわゆるCSI(顧客満足度)過剰を反映した車種戦略面からの転換がおこり、系列販売の中でも車種の相互供給、消費者に対する情報サービスの内容の見直し、より効率のいい業態開発、業態開発への過剰投資の見直し、ディーラーの収益構造の見直しなどが進んでいる。他方において日本市場の国際化に伴なって外国車販売はここ数年大きく伸びたが一昨年、昨年と減少に転じたにもかかわらず、米国車の販売増や日本ディーラーの外国車販売への新規参入、日本メーカーと欧米メーカーの販売提携による新チャネルの創設もみられる。 本年度の研究では以上のような情勢変化が各メーカーの販売戦略にどのような影響を与えているかについての実態調査、販売戦略の変化に伴なう工場生産システムについての実態調査に重点をおき、これに加えて国際化とグローバリゼーションが自動車販売に及ぼす影響の研究、系列組織とその国際普遍性と国際比較の研究をそれぞれ実施し、別紙の研究発表、新聞論説等に発表している。
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