本調査研究では、東北地方および関東地方の製造業15社に対して訪問調査を行い、情報システムの実態および情報システムによる部門間の結合状態(水平的な情報結合)と主要戦略部門のコントロールへの情報システムの利用の方法(垂直的な情報結合)について資料を集めた。 調査から得られたケースを分類すると、大きく情報システムの戦略的な利用のグループと部門自律的な情報システムの利用のグループに分けることができる。また、それぞれについて、生産形態(見込量生か個別受注生産か両者の混合形態か)による差異が大きいことも解った。 戦略的な情報システムの利用のグループはデータベースの利用を中心に市場情報や生産情報を蓄積し、将来の予測精度の向上・戦略計画の立案・計画の実行局面での統制的な情報システムの利用に重点が置かれるものと仮定できる。これに対して部門自律的情報システムの利用のグループは、多様性が高く変動的な市場環境を前提にして、情報の高速処理によって意思決定の迅速化・市場即応性に重点が置かれると仮定できる。 概数的には、前者の仮説に該当するケースが多く、このことは「経営組織のフラット化」がまだ浸透していない、または、情報技術の導入と「経営組織のフラット化」が直接的な関係を持たないことを示唆している。結論に至るまでには、このような仮説パターンに該当する企業と該当しない企業を成果分析によって比較することが必要となる。しかし、成果分析のためのデータを整理するところまでは至っていない。
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