研究概要 |
線形で対称な偏微分方程式に対する様々な解の存在を示すために有用な変分法に対応するものとして、非線形偏微分方程式では、obstacle問題が考えられている。本研究で代表者は、有界領域Dにおいて、Lerray-Lions型の準線形偏微分作用素に対し、与える境界関数として非有界な関数も許す様なobstacle問題の解の存在を証明した。従来は、境界関係としては連続関数しか与えられなかったが、位数1のBessel p-容量を定義する時と同じ方法で、上積分に近い性質を持つ可算劣線形汎関数γ_<1,p>を定義し、この準ノルムをもとにして境界関数からなるバナッハ空間を構成する。このノルムに関しC^1(θD)の閉包をL(γ_<1,p>)で表すと、L(γ_<1,p>)に含まれるどんな境界関数fに対しても境界値fを持つobstacle問題の解の存在が証明された。境界関数空間L(γ_<1,p>)は位数1のBesselポテンシャルG_1^*g(gεL^P)の境界への制限をすべて含むので、連続関数空間よりずっと広がっていることがわかる。この問題の解はソボレフ空間W^<1,p>(D)で求めたので位数1のBessel核G_1を用いたが、もっと高階偏微分作要素に対する問題でW^<m,p>(D)で考えた方が適当な場合には、位数mのBessel核を使えば同様な方法で関数空間L(γ_<m,p>)を構成することができて、必ずしもなめらかでない関数族に対す境界値問題の解法にも有用であると思う。 さらに、研究協力者澤島は順序バナッハ空間のLipschits dualsを考えることにより、順序を保存する非線形作用素の固有値問題にある解決を与えた。また、真島は合流型超幾何微分方程式に対してその不確定特異点である無限遠点でのStokes係数を、形式解のBorel変換の接続関係式を求めLaplace変換をして計算し、さらに微分方程式の解析的変換に対する不変量を明確に求めた。
|