研究分担者 |
森本 芳則 京都大学, 人間・環境学研究科, 助教授 (30115646)
宇敷 重広 (宇敷 重廣) 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (10093197)
宮本 宗実 (宮本 宗美) 京都大学, 総合人間学部, 教授 (00026775)
武内 章 京都大学, 総合人間学部, 教授 (40026761)
秋葉 知温 京都大学, 総合人間学部, 教授 (60027670)
藤木 明 京都大学, 人間環境学研究科, 教授 (80027383)
藤家 龍雄 京都大学, 総合人間学部, 教授 (10026734)
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研究概要 |
複素射影空間からそれ自身の上への正則写像によって定まる複素力学系に関する研究を行った.これは一変数有理関数のイテレーションの理論の一般化とみなすことができる. ファトゥ集合は正則写像の反復合成のなす関数族が正規族であるような最大の開集合として定義される.これは当研究において最も基本的な対象であり,その複素解析的性質を明らかにすることが重要である. 当研究において,ファトゥ集合が擬凸領域,従ってスタイン領域であることが示された.またファトゥ集合が小林双曲的であることが示され,この事実から,吸引周期点および或る種の放物的周期点の吸引領域は必ず分岐点を含むことが導かれた. また,種々の例について,ファトゥ集合の形を楕円関数によって具体的に表現する方法を与えた.さらにファトゥ集合が空であるような力学系の例を構成した. さらに,射影空間の或る部分領域上で正則写像の反復合成の逆写像の族が存在すれば,これが正規族となることを示した.この結果を用いて,ファトゥ集合,ファトゥ集合上の極限写像の像,分岐点集合の軌道,及びその極限集合の間の関連を考察した.特に分岐点集合の軌道が代数的集合となる場合について研究を行い,特に2次元の場合についてこのような正則写像のファトゥ集合が空となるための条件を与えた.
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