研究分担者 |
今井 仁司 徳島大学, 工学部, 助教授 (80203298)
桜井 鉄也 筑波大学, 電子・情報工学系, 講師 (60187086)
北川 高嗣 筑波大学, 電子・情報工学系, 助教授 (60153095)
稲垣 敏之 筑波大学, 電子・情報工学系, 助教授 (60134219)
池辺 八洲彦 筑波大学, 電子・情報工学系, 教授 (10114034)
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研究概要 |
スーパーコンピュータや並列コンピュータが発達し,計算能力が増大するにともなって,数値シミュレーションの規模も大きくなっている。現象をモデル化して得られる偏微分方程式は有限差分法や有限要素法を用いて離散化され,その結果大規模な連立一次方程式や大型疎行列の固有値問題が現われる。本研究では,それらの問題を高速に,かつ精度よく解くためのアルゴリズムについて研究した。 1.大規模連立一次方程式を解くためのアルゴリズムとしては,係数行列が疎行列であるという性質を用いて前処理付共役勾配法の系統の方法を取り上げた。とくに非対称行列に対する安定な方法として知られているBiCGSTAB法に対して,並列化可能な前処理行列を考案し,その収束特性や並列化による高速化について研究した。 2.大型疎行列の固有値問題については,ランチョス法を取り上げて研究した。とくに,重複固有値をもつ場合に適用されるブロックランチョス法の再直交化について研究し,新しい再直交化法を開発した。また,ランチョス法においてランチョスベクトルの直交性が崩れる原因について考察し,それが桁落ちによることをつきとめ,桁落ちを検出して自動的にそれを回避する新しいアルゴリズムを考案した。 3.数値シミュレーションに現われる不適切問題を安定に解くための正則化の方法と,最適な正則化パラメータの値を求める方法について研究した。 4.数値シミュレーションの例として,体積変化を伴う凝固現象や自由表面をもつ自然対流の問題を取り上げて数値計算を行った。これらはいずれも自由境界問題である。
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