研究課題/領域番号 |
04640268
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
天文学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
冨松 彰 名古屋大学, 理学部, 教授 (10034612)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1993年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1992年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 回転ブラックホール / 活動的銀河 / プラズマ流 / 磁気流体波 / X線輻射 |
研究概要 |
活動的銀河はコンパクトな中心核領域から莫大なエネルギーを放出している興味深い天体であるが、本研究はそのような活発な現象をブラックホール磁気圏という観点から解明しようと試みたものである。本研究においては、一般相対論的磁気流体力学によるプラズマ粒子の運動と磁力線の形状を明らかにするために、磁気圏を次の3つの領域に分割して考察を進めていった。 1.プラズマの降着流領域:磁場エネルギーの優勢なブラックホール表面近くでの磁場とプラズマ粒子間の相互作用を明らかにした。つまり、(1)エネルギーと角運動量の輸送が非常に効率よく行われること、(2)そのため、磁気流体波の発生により、ブラックホールへの粒子の落下運動には大きな擾乱が引き起こされること、(3)その擾乱は磁気圏の回転軸方向に集中するので、ジェット的噴出流の発生の引き金となることを示した。 2.プラズマの噴出流が伝播する遠方の領域:超相対論的なエネルギーの噴出流は伝播とともに次第に加速され、その流線はジェット的な形状になる。この形状変化が顕著になるための空間的スケールと赤道面上での境界条件が調べられ、ブラックホール磁気圏とパルサー磁気圏の構造の相違が明らかにされた。 3.降着流と噴出流の境界領域:磁気圏内へのプラズマ粒子の定常的な供給機構として、大きな電流密度の領域におけるジュール散逸過程というアイデアを提案した。そして、その電流層内における正エネルギーの噴出流と負エネルギーの降着流の湧出、及び、熱流の発生と輻射への転化が起こることを示した。 プラズマのジェット流の噴出やX線輻射の放出に関連して、各領域の研究において得られたこれらの知見を総合し、ブラックホール磁気圏の全体的なモデルを構築することは今後の課題として残されている。
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