研究課題/領域番号 |
04640277
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
天文学
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
木下 宙 国立天文台, 位置天文・天体力学研究系, 教授 (00012857)
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研究分担者 |
谷川 清隆 国立天文台, 理論天文学研究系, 助教授 (80125210)
中井 宏 国立天文台, 位置天文・天体力学研究系, 助手 (60155653)
吉田 春夫 国立天文台, 位置天文・天体力学研究系, 助教授 (70220663)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1994年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1993年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1992年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | カオス / 共鳴 / 冥王星 / 数値シミュレーション / 軌道安定性 / 対称型線形多段法 |
研究概要 |
惑星系はリアプノフ指数が正であるという意味でカオス的である。我々は本研究においてリアプノフ指数は惑星系の大局的な挙動を示す指数たりえないことを明らかにした。リアプノフ指数は系の長い時間発展の一部分の局所的な挙動を表すが、系全体の長期間の運動の議論には用いることが出来ない。 また本研究では110億年間(過去55億年、未来55億年)の数値シミュレーションによって外惑星系は少なくとも太陽系の年齢の時間スケールでは現在の秩序だった階層構造から大きく離れることはないことが確認された。特に冥王星の軌道は海王星軌道と交差しているにもかかわらず平均運動共鳴をはじめとする3種の共鳴関係によって、冥王星の軌道運動は安定に保たれている。冥王星とその近接軌道の差の時間発展は(a)初期の4千万年は時間に比例して増大し(b)その後に指数関数的に増大し,(c)ほぼ4億年後に、その差は飽和し、定常値のまわりを振動するだけである。リアプノフ指数が正であるのは(b)の段階に対応している。指数的増加が抑圧されるのは上記に述べた3種の共鳴関係によってである。従ってリアプノフ指数は系の大局的性質を表していないのである。 惑星系の大局的な安定性を知るには内惑星系をも考慮した全惑星系の太陽系年齢スケールの数値シミュレーションを実行しなければならない。しかし我々は惑星系が保存系である限り現在の秩序だった惑星配置は過去も未来も現在のものと大差がないと予想している。一方惑星系形成時から惑星系が現在と同様に秩序だっていたとは考えられないので、エネルギーの散逸効果を惑星系の力学進化の数値シミュレーションに組み込まなければならない。
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