研究課題/領域番号 |
04640312
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
核・宇宙線・素粒子
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
前田 恵一 早稲田大学, 理工学部, 教授 (70199610)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1993年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1992年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 宇宙項 / 非一様時空 / インフレーション / 超放射現象 / 非線型物理学 / アインシュタイン方程式 / 真空のエネルギー |
研究概要 |
アインシュタインが一度は否定した宇宙項が、ここ数年宇宙論で再び注目されつつある。ことの始まりは10年ほど前に提案されたインフレーションである。最近では、ビッグバン宇宙論の最重要課題:大規模構造形成問題を解決する鍵として宇宙項は注目されつつある。 そこで、本研究では、宇宙項が存在する時空における物理的基礎プロセスの解明と、その時空の動的振舞いの系統的な考察を行った。具体的には、以下の3つにまとめられる。 (1)インフレーション宇宙の普遍性および必然性。一般的な時空においてもインフレーションが起こるとする仮説(Cosmic No-Hair Conjecture)の成立条件を調べる。そのため、宇宙項をふくむ非一様時空のダイナミクスを研究した。数値的宇宙論の定式化はすでに完成されているが、本年度はその計算コードを用い、宇宙項のみ存在する場合の非一様時空のダイナミクスを面対称1次元問題として数値計算を実行した。その結果、インフレーションが普遍的な現象であることが明らかになった。 (2)宇宙項と物理的基礎プロセスの解明。宇宙項の影響についてミクロな場合(量子論的諸問題)とマクロな場合(重力レンズ効果など)両方を考察し、現在非常に小さいと考えられる宇宙項の消失メカニズムについても検討する。現在のところ、Kerr-de Sitter時空での超放射現象などの量子場の問題を中心に考察中で、Kerr-de Sitter時空においての宇宙項の役割は明確になった。 (3)宇宙項と一般化されたアインシュタイン理論に基づく宇宙論。現在宇宙項が非常に小さい理由として、宇宙項が時間と共に減少する理論が考えられるが、それは一般化されたアインシュタイン理論から導かれる。ところが、そのような理論では重力相互作用が従来のものと異なり、インフレーション理論や大規模構造の形成問題において重要な変更があると期待される。本研究では、一般化されたアインシュタイン理論での密度ゆらぎのゲージ不変な定式化を行い、具体的なモデルにおいて密度ゆらぎの発展方程式を解き、重力を一般化することで従来の大規模構造形成シナリオが改善されるかを調べた。
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