研究課題/領域番号 |
04640315
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
核・宇宙線・素粒子
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研究機関 | 高エネルギー物理学研究所 |
研究代表者 |
大森 恒彦 高エネルギー物理学研究所, 物理部, 助手 (80185389)
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研究分担者 |
中西 彊 (中西 〓) 名古屋大学, 理学部, 助教授 (40022735)
栗原 良将 高エネルギー物理学研究所, 物理部, 助手 (50195559)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1993年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1992年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | リニアコライダー / JLC / 超格子 / 偏極電子 / フォトカソード / 変調ドーピング / 電荷制限 / ソニアコライダー |
研究概要 |
我々は1991年にAlGaAs-GaAs超格子フォトカソードを使用し最大偏極度71%の結果を得ることができた。本科研費による研究はこれをさらに発展させるために行なわれた。 超格子内部での減偏極の過程を調べた。フォトカソードとして使用する為に、超格子はPドープされているが、表面のドーピングの密度を従来の値に保ちながら(あるいはむしろ高いドーピングに設定して)、内部のドーピングの密度を下げること(これを変調ドーピングと呼ぶ)により偏極度と量子効率を同時に改善できることを示した。 次に全厚の違ういくつかのサドプルを測定した。偏極度の全厚依存性より、拡散過程での減偏極がない状態での偏極度は75%程度になると結論した。そこで表面の構造の違ういくつかのサンプルをテストし、表面では25%もの偏極減偏極が起こっていないことを確かめた。そこで超格子内で励起された電子の偏極度が、k_〓^2≠0の点でのバンド混合等の理由により75%程度になっていると考えられる。 変調ドーピングの大電流パルス取り出しでの有効性を確認するために、スタンフォード線形加速器センター(SLAC)との共同研究の一環として、特に成績の良かった構造のサンプルをSLACにてテストした。2.5ナノ秒間に2.3x10^<11>個の電子を取り出すことに成功した(量子効率2.0%)。これはJLC級リニアコライダーに要求される性能をほぼ満足する。この結果は電子銃の空間電荷制限によって制限された値でありカソード物質自身の電荷制限(カソードに照射するレーザーの光量を多くしても、取り出せる電流が頭打ちになる現象)は観測されなかった。今までSLACで測定された歪GaAs型カソードはすべてカソード物質の電荷制限で電流値が制限されており、この現象はJLC級リニアコライダーでは大きなネックになると考えられていただけに、この成功は極めて重要である。
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