研究概要 |
本研究実績の中味は次の2つの重要な仕事にわけることができる。 I.圧電基板上での高温超伝導薄膜の作製 自作のPbTiO_3/Mg0基板とLiNbO_3及びLiTaO_3単結晶基板を用いRFスパッタリング法で作製した。 PbTiO_3膜上へはBi系超伝導膜を他にはY系超伝導膜を成長させた。 蒸着後、電気炉で熱処理したBi系膜は2212相による零抵抗を示した。 InSiTu熱処理によるY系薄膜は良質な常伝導,超伝導特性を示さなかったが銀添加ターゲットを用い薄膜中に銀を拡散させてやると明暸な超伝導相転移を示した。 II.高温超伝導薄膜中の弾性表面波測定 超伝導Y-Ba-Cu-O/LiNbO_3,LitaO_3及びBi-(Pb)-Sr-Ca-Cu-O/PbtiO_3/MgOの両端に基本周波数100MHzを想定したくし型電極をフォトリソグラフィを用いて蒸着し、弾性表面波の送受を行った。 198MHzの周波数についてBi系超伝導薄膜/PbTiO_3/MgOの組合わせで室温から低温(10K)まで弾性表面波吸収係数の温度変化をくわしく測定した。超伝導転移温度近傍での著しい吸収係数の変化は見られず従来のBCS超伝導体とのちがいが鮮明になった。 酸化物高温超伝導がBCS的発現機構かどうかを検証するにはもっと高い周波数が必要であり現在、電気-音響変換効率の高い単結晶圧電基板LiNBO_3及びLiTaO_3を使ってより高精度の実験を遂行中である。
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