研究概要 |
以下具体的に記述するように総じて成功裏に進んだ。 1.低エネルギーe^+ビームの発生できる装置を製作した。完成した装置は0.3eVまで測定可能になり世界最低速の陽電子ビームの実験装置である。長時間であるために測定は総て自動化された。 2.この装置を用いてO_2気体の測定を行った(論文準備中)。 3.H_2分子については超低速装置ですべての測定を行なった(これはAt.Col.Res.Jpn.に速報として出しているが正式論文は準備中)。 4.ベンゼンC_6H_6によるe^+の散乱実験は低エネルギーで断面積の高くなる物の代表として測定した(At.Col.Res.Jpn.)。 5.より本格的な測定として,N_2,CO,CO_2についての測定が以前に我々がこれらの気体で0.7eV以上の測定があるのでこれのより低エネルギー域を測定する目的で行った(J.Phys.Soc.Jpn.に発表)。 6.10^<-6>Torrの高真空で透過型輝度増強(Brightness Enhancement)法の実験を試みた。実際には多く使用されている一度真空外に取り出してから再度真空に入れて使用する実用型のタングステン(W)モダレータの場合と比較して,高真空のままで使用する本研究の方法が有効か否かを判断することになる。測定結果は作られたビームのエネルギーの幅は3.4eVから1.3eVに狭くなり改善された。なお,ビームの収束のための実験装置を作り上げたが,未だ結論を得ていない。この研究は本年5月の国際シンポジュウムで報告の予定である。 7.Einzel Lenzでビームの収束を行い,マルチチャンネルプレートで収束度をチェックする実験システムを作った。このシステムでエネルギー幅も空間幅も狭い陽電子のビームが出来ればこれを利用する陽電子の気体散乱実験装置を作り,実験することになる。
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