研究概要 |
流体圧下の共振法-Cavity Resonance法-の開発と地球内部への応用に関して以下の研究を行った. 1.ガス圧下の実験と弾性率の圧力勾配の測定 鋼球をテスト材料として,Cavity Resonance(CR)法-圧媒体の流体を満たした球状のキャビティの中心に球試料をおき,その共振を測定・解析する-の実験をヘリウムのガス圧下で約0.1GPaまで行い,いくつかのトロイダル・モード(TM),スフェロイダル・モード(SM)の周波数の圧力勾配を測定した.TMのデータから剛性率の圧力勾配dG/dPを,また試料-ガスの結合を無視できると仮定して,SMから体積弾性率の圧力勾配dKs/dPを,それぞれ求めた.共振測定装置を改良して最終年度に得た値,dG/dP=1.80±0.03,dKs/dP=4.27±0.27は鋼の値としてもっともらしい値であり,CR法の成功を証明している. 2.水中でのスペクトル測定とより高い圧力への展望 キャビティを水(常圧)で満たして測定した結果,TMのみならず,SMのあるものも検出されることがわかった.水のインピーダンスは,約1GPaのヘリウムガスのそれに相当し,CR法のより高圧での測定への展望が得られた. 3.FT法による新しいデータ集録システム ディジタル・オシロスコープを導入し,FT法によるデータ集録システムを確立した.まだ改善すべき点はあるものの,FT法によるスペクトルでもほとんどのモードが検出されることが判明した. 4.高温高圧焼結試料への適用 パイロープ焼結体から球試料をつくり,常圧での弾性率を決め,この方面の研究へ着手した.
|