研究概要 |
本研究では、様々な雪氷体(氷床,氷河,雪原,雪渓,季節積雪)の表面アルベドの時空間特性のレビューを行うとともに、雪氷体の質量変化における雪氷アルベ-ドの役割の基礎研究として以下の2つの研究を実施した。 1)氷河融解モデルを用いて、アルベ-ドやその他のパラメターに関する氷河融解感度実験 2)積雪上の不純物の正体とその変化のメカニズムに関する研究。これらの研究から以下の結論が得られた。 a)ヒマラヤなどの気候帯では、融解量のアルベ-ド依存性が非常に強く、その季節変化と気候変化に伴う質量の減少や増加をモデルによって再現するためには、アルベ-ドの正確な定式化が必須である。 b)雪渓など特に汚れた積雪の不純物の多くは有機物であり、重量換算としては少ないにもかかわらず、光学的に重要となる物質の体積としては、全不純物の60%にも達する。 c)雪原のアルベ-ドの春期から夏期にかけての変化は一様な漸減傾向ではなく、不純物の質的変化にともない、夏期のある時期に急激に変化する傾向を示す。ここでの質的な変化は、緑藻から藍藻,バクテリアへの変化を意味する。 アルベ-ドの時間変化を正確に理解するためには、積雪を雪氷,空気,水,無機物,有機物の混合系と見故し、全要素をパラメター化した積雪モデルに関する研究が必要であろう。
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