研究課題/領域番号 |
04640464
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理化学一般
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研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
森 健彦 (森 建彦) 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (60174372)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1993年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1992年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 有機超伝導 / テトラチアフルバレン / ラジカルカチオン塩 / 結晶構造 / 電気伝導 / 電子供与体 / テトラメアフルバレン / テトラチアペンタレン |
研究概要 |
本研究では有機超伝導をめざした新しい構成分子の開発とその伝導体のキャラクタリゼーションを目的に研究を行った。具体的な成果は: 1.有機アルミニウム試薬を用いた新しいTTF(テトラチアフルバレン)誘導体の合成ルートを開発し、いくつかの新規のTTF誘導体を合成した。 2.TTFの中央にTTP(テトラチアペンタレン)を挿入した新規ドナーを用いた有機伝導体を多数合成し、その構造と物性について調べた。具体的には:(1)片側にメチルチオ、もう一方にエチレンジオキシ基を付けたTMEO-TTPの塩が、八面体および直鎖状アニオンの場合にはすべて極低温まで金属的伝導性を示すことを見いだした。(2)両端をメチルチオ基で置換したTTM-TTPについて三種類のI_3塩を得た。このうちの一つは1:1の組成を持つにもかかわらず室温付近で金属的である。この塩は一次元カラム構造を持っている。また2:1塩の内の一つは20Kまで金属的な伝導性を示す。(3)片側をエチレンジチオ置換し、もう一方を無置換としたEDT-TTPの塩は、アニオンによらずいずれも室温付近で金属的である。(4)両側とも無置換のBDT-TTPはアンオンによらずいずれも極低温まで金属的である。構造的には細かい違いはあるが、いずれもβ型と呼ばれるドナー配列を持ち、スタック方向に対して横方向が三分の一から四分の一の相互作用を持つため金属状態が安定化されているものと考えられる。 以上のような個別の研究により、最初の設計のとおりTTF骨格を拡張することが有機伝導体の金属状態を安定化するのに非常に有効であることが明かとなった。さらに置換基などを変えることによって非常に多くの可能性があるので、こうした修飾が超伝導の発現に及ぼす効果などの研究を継続中である。
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