研究概要 |
申請した課題の内、今年度は次の2つについて行った。 1.種々の置換基を持つアルケン類とβ-ケトエステル類と酢酸マンガン(II及びIII)、Ce(IV)、Pb(IV)の塩を用いて酸素の存在下、種々の溶媒中、試薬のモル比、温度、添加物(無水酢酸、水、塩類)の影響を調べながら行い、15種類の1,2-ジオキサン-3-オール類を合成した。合成品は薄層クロマトグラフィーを用いて精製し、それらの構造を核磁気共鳴、赤外、質量スペクトル及び元素分析等を用いて決定した。生成物はいずれも結晶性の良い固体で、新規な構造のためスペクトル等の特異的な物理的性質をもち、化学反応性にも幾つかの興味ある知見が得られた。例えば、酸との反応において1,2-ジオキサン-3-オール類は開環、転位、縮合、閉環してフラン類を与える。また、メチルエーテル類はグリニヤール試薬と反応してその側鎖を延長することも可能であることが分かった。以上をJ.Chem.Soc.Perkin Trans.1に報告した。 2.各種のアルケンとβ-ケトスルホキシド、β-ケトスルホン類およびその誘導体との反応を酸素-酢酸マンガン(II)存在下行い、相当する1,2-ジオキサン-3-オール類を12種合成した。生成物の過酸化物の構造の決定は課題1と同様に各種のスペクトルおよび元素分析等によって行った。ここで合成した1,2-ジオキサン-3-オール類は立体異性体の混合物であることが、炭素13核磁気共鳴スペクトルから分かった。これらの結果をこれらの化合物の立体化学及びその化学反応性の研究などとともにJ.Heterocycl.Chem.に発表した。
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