研究概要 |
表面化学修飾固定相として,液体クロマトグラフィーの分野で多用されているオクタデシル鎖を化学結合したシリカゲルを取りあげ,種々の溶液と組み合せた二相系での錯体の分配挙動をクロマトグラフィーの手法を用いて研究し,以下のような知見を得た。 1.希工類のオクタエチルポルフィリン錯体に対する保持は,移動相溶液中に添加したアミンの種類に依存し,アミンのアルキル鎖長の長さが長いほど影響は大きい。トリアルキルアミンとジまたはモノアルキルアミンの影響は大きく異なっている。 2.硅酸亜鉛系の蛍光試剤を含有するオクタデシル化シリカ上でポルフィリンのクロマトグラフィーを行うと,これらポルフィリンはその亜鉛錯体に変化するという重要な事実が見出された。 3.化学結合シリカと化学結合していないシリカのポルフィリンやその金属(銅)錯体に対する吸着特性を,ポルフィリンの化学構造,溶媒物性,シリカ表面を化学修飾した原子団の構造の観点から明らかにした。 4.種々のβ-ジケトンのクロム(III)およびパラジウム(II)の液液分配係数をドデカン/アセトニトリルー水の系で測定し、分配係数に及ぼす錯体の立体的大きさと,溶媒ー錯体相互作用との影響を考察した。 5.種々の有機化合物について,オクタデシルシリカとメタノールー水の系での分配挙動を、オクタデシルシリカの代りにドデカンを用いた液一液系での分配挙動と比較した結果,オクタデシルシリカは極性溶媒(メタノール又は氷)をとり込んで極性の高い状態にあることが明らかになった。 6.オクタデシルシリカ表面を移動相に添加したオクタンにより修飾し、疎水性を高めることにより金属テトラフェニルポルフィリンの分離を向上させ得ることを見い出した。
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