研究概要 |
リン化合物は環境水中における富栄養化をひきおこす原因物質であるが、その分子レベルでの発現機構はまだ明らかになっていない。本研究では、環境水中におけるリン化合物、例えば生活排水や工業排水由来の二リン酸塩や三リン酸塩、歯磨き(薬用配合剤)由来のモノフルオロリン酸塩、生物起源のATP,ADP,AMP等の分解速度を測定して、富栄養化現象の解明を目的とした。以下に研究成果の概要を示します。 1。リン化合物の酵素分解および非酵素分解を追跡するために、フローインジェクション分析法によるオルトリン酸塩の迅速な選択的分析法を開発した。反応コイル中のポリリン酸塩の加水分解反応と呈色反応を同時に進行させるために、高温・高圧リアクターを設計した。またフォトダイオードアレイ検出器を装着した検出系を開発して、リアルタイムで生成物のスペクトル特性を追跡できるようにした。 2。環境水中に溶解したリン化合物とその分解生成物を同時に分析するために、フローインジェクションシステムを検出系とする高速液体クロマトグラフィーを設計した。重合度や酸化数の異なるリン化合物の分析法の最適化をはかった。 3。無機ピロホスファターゼによってピロリン酸塩が加水分解され、またアルカリホスファターゼによってモノフルオロリン酸塩が酵素分解されることを解明した。
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