研究概要 |
1.本研究は励起状態間の円偏光メモリーの緩和を目的としたCPEP分光法の完成がまず要求されるが、ベースとなるアンタレス76-S,YAG:Nd^<3+>レーザーが安定化されず、また赤外領域の回折格子を購入する為の研究費が不足したので,ナノ秒のCPLメモリー緩和の研究を主として行うことにした。 2.まず物質群としてNaMgAl(OX)_3にドープしたキラルなCr(OX)_3(OX=C_2O_4^<2->)結晶の育成はまだ完全に成功していない,容易にラセミ化するためであり,この対策としてキラルな複塩の合成に成功し,そのキラル構造が振電相互作用に反映することを見いだした。よって結晶は既存のRn(en)_3-Cr^<3+>に固定された。その単結晶のg値(不斎因子)は理論と一致することにより,U-Yバンド間遷移が興味深い。 3.ナノ秒での高感度TR-CPL分光を可能とするため,現在完成されているロックインアンプ方式の検知システムをフオトンカウンテイング検知方式に改善することを試みた。これは分光器の駆動回路を一新して将来のLANの基となる32ビットコンピューターで制御させるシステムの構築を意味する,幸にも修士学生の力でこのシステムが2年がかりで完成した,現在レーザーのノイズを除去し,TR-CPLの初期データーをとり出している。明るい希上類(III)錯体のμsの時間領域は可能となったが、クロム(III)錯体単結晶の仕事は次年度にもちこされた。
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