研究概要 |
約40種のDNA修復突然変異株を遺伝学的な解析と変位原に対する感受性を指標にしてグル-ピングを試みた。その結果、いくつかの特徴から、組換え修復機構に欠損を持つと考えられる5株が同定された。それらの変異株が実際に組換え修復に異常があるかどうかを、pMTRプラスミドを用いて相同組換えの頻度を計る事で直接組み換え能を調べた。その結果、最も組み換え頻度が低かったのはmei-3変異株で、相同交換えはほとんど検出できなかった。その他、mei-2,uvs-6,mus-20,mus-23,mus-25でもその値は野生株より、はるかに低かった。逆に組み換え修復のグループには入っていないuvs-2株では、その値は野生株より高かった。これらの遺伝子が本当に組換えに関与しているかどうかをさらに調べるため、これらの遺伝子のクローニングを試みた。クロニングされたmei-3遺伝子は、そのシークエンスから大腸菌のrecA遺伝子、出芽酵母のRAD51遺伝子がコードするタンパク質に高いホモロジーを示した。これらの遺伝子は、DNAの組換えの中心で働くであろう事が示唆された。同様に、mus-25遺伝子もクローニングされ、その結果は、この遺伝子が、酵母のRAD54に高い相同性を示した。一方、相同組換え値が高いuvs-2は酵母のRAD18遺伝子と高い相同性を示した。RAD18は復製後修復機構において働く遺伝子として知られており、このことは、uvs-2が、組換え修復にグル-ピングされなかったことと一致している。現在においても、非相同組換えにかかわる遺伝子が確認されておらずこれについては、今後の課題として残されている。
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