研究概要 |
1)網の諸特性を測定し,以下の指数をクモ各種の網について求めた: 捕獲指数=横糸の粘着力×横糸の強度×縦糸の強度×縦糸の数÷横糸の間隔 捕獲指数の大小から,8種の網は以下の3つのグループに分けられる: (1)網の捕獲指数が非常に大きく,大型で重い餌の捕獲に適している(ナガコガネグモ,コガネグモ,ジョロウグモ)。小型の餌ももちろん捕獲できる。 (2)捕獲指数は非常に小さい((1)の数百分の1から数千分の1)。小型で軽い餌しか捕獲できない(アシナガグモ,ヤサガタアシナガグモ,オオシロカネグモ) (3)捕獲指数は中くらい((1)の十数分の1)で,中型の餌を捕獲できる(チュウガタコガネグモ,タニマノドヨウグモ)。 2)クモの網・人工網ともに3ミリ以下の餌がもっとも多く大型の餌は少なく,各種の網の違いはあまり見られなかった。しかしこれは捕獲指数の高い網に小型の餌が大量にかかるためで,ナガコガネグモは網にかかった餌のなかで非常に大型で重い餌を選択的に摂食していた。捕獲指数の低い網にかかるおもな餌は小型の双翅目とカゲロウ目であった。中適度の捕獲指数の網を張るタニマノドヨウグモは,身体はやや大きいが比較的軽いカゲロウ目をおもな餌としている。 このように,網の属性とそれにかかる餌(または摂食している餌)との間には密接な関係があることが明らかになった。
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