研究概要 |
ソラマメ緑葉の裏面表皮を2段階酵素処理することによって孔辺細胞プロトプラスト(GCP)を単離した。また,ソラマメ葉肉組織より1段階酵素処理によって葉肉細胞プロトプラスト(MCP)を単離した。 GCP,MCPの粗抽出液に3倍量のメタノールを加え,生じた沈殿をタンパク質画分としてその後の実験に供した。必要に応じてクロロホルムによる脱脂も併用した。まず,1次元のSDS電気泳動を行い,CBBで染色したところ,両組織のタンパク質の組成に違いがあることを認めた。タンパク質の中でも特に炭酸固定酵素の一つであるPEPCに注目するため,Western BlottingによるPEPCの検出を試みた。SDS電気泳動後のゲル中に存在するタンパク質をPVDFメンブレンに転写後,市販のトウモロコシPEPCを抗原として兎に作らせた1次抗体で処理し,さらにアルカリフォスファターゼで標識した抗兎IgGを2次抗体として処理を行った。その後,アルカリフォスファターゼの発色反応を行うことにより,PEPCを検出した。GCP由来のタンパク質画分に分子量の異なる少なくとも2本のバンドが認められた。MCP由来のタンパク質画分にも2本のバンドが認められた。 さらに,これらが,プロトプラスト単離中,あるいはタンパク質抽出過程での分解の結果生じたものか,アイソザイムとして存在しているか,両細胞に違いがあるかをより詳しく調べるため,2次元電気泳動による解析を試みた。2次元電気泳動後のゲル中のタンパク質を銀染色によって染色したところ,両細胞で,タンパク質組成に差が認められた。Western Blottingの後,PEPCの存在を検出したところ,等電点,分子量の異なるところに3つのスポットが認められた。
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