研究課題/領域番号 |
04640648
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
動物発生・生理学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
下澤 楯夫 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (10091464)
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研究分担者 |
清水 利伸 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (60250510)
長尾 隆司 北海道大学, 実験生物センター, 助教授 (70113595)
馬場 欣哉 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (30238232)
高畑 雅一 北海道大学, 理学部, 教授 (10111147)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1993年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1992年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 感覚細胞 / 神経経路 / 信号処理 / 非線形 / ウイナー解析 / ガウス白色雑音 / パルス密度変調 / エルミート多項式 / ウィナー解析 / 神経回路 / 昆虫(コオロギ) / 気流感覚系 / 巨大介在神経 |
研究概要 |
神経系を非線形な信号処理装置とみたて、刺激としてガウス白色雑音(GWN)を与えて、神経経路の特徴を情報工学的に同定する方法の確立を図った。GWNで周りの空気を機械的に駆動し、感覚細胞の活動電位パルス列を出力として、コオロギ気流感覚細胞の1次と2次のウィナー変換核を推定した。活動電位を1V、0.5ミリ秒のパルスの有無に直してあるので、得られたウイナー核は出力パルスの発射確率の時間変化を表す。感覚細胞のウイナー核を見ると、2次の核は1次の核をふたつ縦横に並べて掛け合わせた形になっている。このように2次の核が1次の核の積の形になる最も単純な系は、線形フィルタと記憶の無い非線形要素との縦列接続である。記憶のない非線形要素とは、出力が入力信号の瞬時値だけで決まることであり、この場合は非線形なパルス密度変調器のことである。従って感覚細胞は、線形なフィルタと非線形なパルス密度変調器が縦列接続したモデルで表せる。変調器は無記憶で、出力に活動電位パルスを発射する確率は入力瞬時値のみに依存する。線形フィルタの出力もガウス過程なので、変調器の入力のエルミート多項式と出力との内積計算から、入力瞬時値と出力のパルス発射確率との関係を推定できる。このようにして感覚細胞を解析した結果、1)活動電位の発射確率が入力の瞬時値のシグモイド関数で増えること、2)入力瞬時値の大小によって、活動電位の発生タイミングが0.5ミリ秒程度ゆらぐこと、3)刺激の強さに応じて感度が変わる順応機構があること、が明らかになった。 さらに、ザリガニ運動神経細胞で信号のゲイティングの起る機構を細胞膜の非線形性として明らかにし、また昆虫の視覚系での非線形な感度調節がセロトニンなどの液性因子を介して起ることも明らかにした。研究成果は学会で公表し、一部は原著論文に、一部は総説として公表した。現在、さらに詳細な原著論文として取りまとめ中である。
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