研究概要 |
神経切断による生じる末梢部の暗化領域が,暗所では,明化することを発見し,これが松果体からの分泌されるメラトニンによると結論した.ネオンテトラの運動性虹色素胞を電子顕微鏡で観察し,ヴェネチアン・ブラインドと類似の機構で反射小板の間隔が変化すると推論した.この虹色素胞の運動性には,微小管とダイニンの相互作用が関わるが,アクチン系も影響をもつ.コリンが黒色素胞のノルエピネフリンに対する凝集反応を抑制し,能動的に拡散反応を生じることを観察した.コリンは細胞内に浸入し,色素拡散効果を示すと結論した.ペンシルフィッシュは,昼間は一本の縦縞模様を示すが,夜間は数個の斑点模様に変化する.この斑点模様のうち,縞部外の領域では,色素拡散が生じることを発見し,これがメラトニンの作用のよることを示した.メラトニンについては色素凝集作用だけが知られていたが,今回,色素拡散作用が記載され,関与するた.関与する受容体をβ-メラトニン受容体と命名した.アトロピンは,黒色素胞色素を拡散させるが,色素胞内に浸入して,作用を発現するという機構を示した.背地適応させたメダカの形態学的体色変化に神経の存在が関与することを示した.背地適応は,黒色素胞自体の神経伝達物質,ホルモンに対する反応性にも影響を与える.コイ科の2種で,色素凝集性のムスカリン型アセチルコリン受容体をもつ黒色素胞を見いだした.ナマズ目以外では最初の記載である.ネオンテトラなどの腹部の赤色が概日的な色彩変化を示し,暗所では透明化することを観察し,メラトニンの分泌の増加による赤色素胞内色素の凝集によるものと結論した.哺乳類のエンドセリン-1を用い,魚類の黒色素胞色素の強い凝集作用を検出した.ティラピア由来のプロラクチンのティラピアの色素胞におよぼす作用を調べた.培養の黄・赤色素胞で顕著な顆粒拡散がみられ,皮膚の黄化を生じるホルモンであることが示された.
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