研究課題/領域番号 |
04640686
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
動物形態・分類学
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研究機関 | 北海道大学 (1993) 東京大学 (1992) |
研究代表者 |
高橋 孝行 北海道大学, 理学部, 教授 (80197152)
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研究分担者 |
高橋 健治 東京大学, 理学部, 教授 (70011533)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1993年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1992年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 哺乳類卵巣 / 成熟卵胞 / プロテアーゼ |
研究概要 |
我々は哺乳類の生殖器官におけるプロテアーゼの役割を明らかにする試みの過程で、ブタ卵巣において卵胞の成熟に伴って卵胞液に蓄積されるプロテアーゼ活性を見いだした。本プロテアーゼによる活性は未熟な卵胞由来の卵胞液では低く、卵胞の成長・成熟過程で次第に高まり、排卵直前の卵胞液内の酵素活性は、未成熟な卵胞のそれと比較すると4〜5倍にも達することから、この卵胞液プロテアーゼが卵胞の成長、排卵、受精に至るまでの過程で重要な役割を担うタンパク質であることが強く示唆された。そこでこのプロテアーゼの生理作用を明らかにすることを目的として、平成4年度では卵胞液プロテアーゼの精製法を確立するとともに、得られた標品について酵素学的特性や性状を詳細に調べた。雌ブタ50頭の卵巣から卵胞液を採取し、硫安分画法(0-40%飽和で生じる沈殿)、DEAE-セルロース、続いてCM-セルローズのイオン交換カラムおよびベンザミジン-セファロースのアフィニティーカラムクロマトグラフィーにより約0.3mgの完全精製酵素標品を再現性よく得る方法を確立した。得られた標品を用いて本酵素の性状を検討したところ、Mr=35kDaとMr=45kDaの2本鎖ポリペプチドがジスルヒド結合で結合した2量体構造の糖タンパク質であり、Arg-X結合を特異的に切断するセリンプロテアーゼであることが判明した。平成5年度では、全体の約15%に相当するアミノ酸配列を決定し、これまでに一次構造が明らかにされているタンパク質との相同性を検索したところ、本酵素は血液凝固系プロテアーゼのヒト血漿カリクレインやヒト第11因子と構造上の相同性をもつ分子であることが明らかとなった。さらに基質特異性等の詳細な検討から上記の2つのタンパク質とは異なる分子であることを証明して、この新規の卵巣プロテアーゼをFollipsinと命名した。この他、特異的抗体の作製にも成功したので、免疫組織学的手法による本プロテアーゼの組織分布の調査が可能となった。ブタ卵巣においては、成熟卵胞の卵胞腔のみならず間質に存在する細胞が強い陽性を示した。
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