研究課題/領域番号 |
04640687
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
動物形態・分類学
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
岩澤 久彰 新潟大学, 理学部, 教授 (60018249)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1993年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1992年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | サンショウウオ / 精子形成 / 性ホルモン / 脳下垂体 / 成熟年齢 / 冬眠 / 生殖行動 / 人工受精 / 排卵 / プロラクチン / 寿命 / 精巣 / 生殖細胞数 / 性分化 / クロサンショウウオ / エゾサンショウウオ / 有尾両生類 |
研究概要 |
クロサンショウウオとエゾサンショウウオのメスの生殖器官の周年変化を調べた。両者にみられる大きい違いは前者では産卵期後、翌年の生殖に向けての生殖細胞の増殖・分化が始まるまでに4カ月の休止期間があるが、後者では直ちに始まることである。これはエゾサンショウウオでは冬眠期間が長く、摂食活動のできる期間が短いことへの適応であろう。精子形成は冬眠前に終了するが、卵の発達は冬眠中も続くという現象は両種に共通である。排卵は入水後に起り、その時の血中プロゲステロン濃度はきわめて高い。クロサンショウウオのオスの血中アンドロゲン濃度は排精時に著しいピークがあり、産卵期後は7月から9月にかけて上昇し、冬眠の後半でさらに上昇する。メスの血中エストラジオール濃度は7月から増加を始め、秋にピークがみられる。 クロサンショウウオの脳下垂体前葉は年間を通してメスよりオスの方が大きい。特に産卵池に入っているオスの前葉は著しく大きく、これはこの時期に起る多量のプロラクチン産生との関係と思われる。免疫細胞化学的研究によると、生殖腺刺激ホルモン産生細胞の活性は生殖機能の周年の変動とよく一致していた。 クロサンショウウオの生殖集団の年齢構成には地域差がみられ、もっとも若い成熟オスの年齢は地域によって3才、あるいは5才であった。メスはオスより2年ほどおくれて成熟する。高冷地では成熟がおそく、ライフ・スパンは長い。オスの最長年齢は14才であった。 クロサンショウウオの卵嚢は水中に3時間放置してから注精しても全卵が発生する。また1匹のオスは連續して少くとも5匹のメスが産んだ卵をすべて受精させることができる。従って本種の産卵時にみられる、オスが卵嚢にむらがって放精するメイティングボールの形成には発生学的な意義はない。
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