研究概要 |
マグマの発泡現象および発生した気泡の移動現象を理解するために,気泡や固体粒子の移動とマグマの対流の相互作用に関する実験を行った. 粒子と沈積と熱対流の相互作用について,粒子の量が少ない場合についての実験的理論的考察を行った.その結果,粒子の沈降及び対流の様式は粒子濃度に応じて以下の2タイプに分かれることが分かった.粒子濃度が低いときには、粒子は対流によって混合され水槽中に均質に分布しつつ底部で沈積が進行する.この場合、粒子濃度は時間とともに対数関数的に減少する.粒子濃度が一定値を越えると粒子は上澄を形成しつつ沈積し,水槽全体に及ぶ対流は抑えられる.モデル計算によると両タイプの境界は,粒子+流体の総密度が温度勾配に因る流体中の密度不安定に打ち勝つか否かの条件に一致する.この研究結果は,Journal of Volcanology and Geothermal Researchに発表された.また,粘性と密度が違う2流体が安定に成層した水槽において,粒子あるいは気泡を移動させる実験を行い,この粒子(気泡)が2流体の境界に濃集し,密度不安定層を形成し,成層構造が崩壊するという現象が見られることがわかった.さらに,このような不安定が生じる条件を理論的に推定した.この研究結果は,Earth and Planetary Science Lettersに発表された. これらの実験的結果をマグマ溜り中の斑晶や気相の移動現象,とくに層状沈積岩の成因に応用し,火成作用上の意義を考察した(例えばNature,International Journal of Modern Physics). これらの実験を発展させるために,気泡を電気分解によって発生させ,さらに,電気分解のときの電圧をコンピューター制御し気泡の発生量を時間的に変化させるための装置を作成した.
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