1.航空宇宙技術研究所でシステム研究中の日本のSSTOのスペースプレーンり機体要目と質量分布を基礎に、X-30と同様に翼は胴体に一点で結合されているとした解析モデルを作り、極超音速非定常空気力として2次のピストン理論を用い、剛体並進、剛体回転、曲げ1次、曲げ2次の4つのモードを用いた計算により、細長い胴体をもつこの機体では、胴体のフレキシビリティと翼の位置に依存して、極超音速飛行時にボデイ・ダイバージェンスではなくボデイ・フラッタを起こす可能性があることを明らかにした。 2.最高風速30m/sの低速風洞で、翼面を鉛直にして水平方向に自由に動き得るように支持したフレキシブルな模型によるフラッタ実験を、翼幅と翼の取付位置を変えた4つの模型について行った。併せて非定常空気力の計算に上田の非平面ダブレットポイント法を用いて理論値を計算した。その結果次の事柄が明らかとなった。 (1)いずれもボデイ・ダイバージェンスを起こすことなく、ボデイ・フラッタを起こした。 (2)フラッタ速度、振動数、モードなど、実験結果と理論値はほぼ一致した。低速でのボデイ・フラッタ解析の非定常空気力の計算に、上田の方法が極めて有用である。 (3)理論計算結果は、フラッタ速度に対して模型の構造減衰係数の影響が大きいことを明らかにしている。 (4)実験結果は、低速でのボデイ・フラッタはフラッタ速度以上で風速に依存したある振幅での定常な自励振動となり、フラッタを起こしたことが直ちに破壊に結びつく火振幅の振動とならないことを示した。
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